子供が生まれますと健やかな成長を願っていろいろな儀式がありますね。たとえば、「お食い初め」がそうです。離乳食から歯が生えてからのために噛むことを祝うものです。
ひな祭り、端午の節句、成人の日、など大きな節目には必ずお祝いが付きものです。
年齢を重ねますと、母の日、父の日の他に、敬老の日、還暦、喜寿、米寿、白寿等感謝の心と長生きへのお祝いといろいろな思いを込めたものです。
年齢を重ねて得られる幸福をお祝いする心がうれしい、ですね。
人の成長へのお祝いとは別に、いろいろなことを記念しての「○○の日」というのも多いものです。例えば、5月9日、「呼吸の日」だそうです。語呂合わせですが、肺年齢という表現が奏功してか国内各地でイベントもあり、肺疾患への関心が高まってきています。
また、読書週間、交通安全週間、障害者週間など、ある一日に限定せずに一週間単位でテーマ毎に啓発、啓蒙等促進するものもあります。
このように人が生きていく上で出会う様々な事柄に対し、敬意をもって、心から感謝するような仕組みは代え難い「智慧」と言えます。
12月は「師走」とも言われるほど忙しい月だそうです。教師(先生)も忙しいからだそうです。ん??
じゃあ、教師(先生)はそれ以外の月は暇ってことかな?等と突っ込みたくなるものです。
日本では、お中元、お歳暮という文化があります。形骸化するのは必定ですが、意味としては日本の暮らしにあった「智慧」の一つと言えます。下心があってはダメですけど。
そんな日本にないものがあります。教師(先生)の日です。義務教育としての小中学校の9年間、いやそれ以前の幼稚園や保育園、そして、やがて高等学校や専門学校、大学等多様な学ぶ機関がありますが、一人の子供が成長してゆく過程でどれほどの教師(先生)と出会うことでしょうか。
成績や進学に関係するからという下心でなしに、真の感謝を示す「先生の日」はありません。
でも、ベトナムにはあります。11月20日がそうです。
ベトナムでは、「一言でも教われば先生」という思想があります。11月20日は先生に尊敬を示す日になっているのだそうです。
ユネスコでは、10月5日を「世界教員の日」と定めています。
私は大学で教員をしています。ベトナムには「先生の日」があると言われて、思い出しました。韓国にも「先生の日」があるということを。5月15日でした。年に数度韓国を訪れていたときに5月15日に高校で授業をしてほしいと依頼されました。聞けば、この日は各学校で好きな人を招いて先生をしてもらうことができる日でした。たとえば、人気タレントを招いて先生をしてもらったり、著名な研究者を招いたりとやり方はいろいろです。
韓国を走る私に、歴史を、スポーツを、日韓両国間への橋渡しの意気込みを高校生に話してほしい、というものでした。実現はしませんでしたがそうしたオファーがあっただけでうれしく感じました。
要は、形式ではなく、その心にあります。先生に感謝する心をそのようにして表現しているのです。
ベトナムで教師経験のある人ならその日を体験したこともあるはずです。朝日新聞「声」欄に投書された堀さんという方もその一人。ホーチミン市でエスペラントを教えていらした時にこの日に遭遇しています。その日の感動を投書されたのでした。2005年12月7日付のものでした。
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