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大会実行委員長 渡辺雅之
東京学芸大学 教授
いろはにほへと塾 塾頭













その22 ベトナムに新幹線? ( 2010.07.16 )

  ベトナムの首都ハノイからホーチミン市までその距離は約1600kmという。この間を高速鉄道でつなぐという計画があるようだ。

 これだけで日本の新幹線かと思ってしまった。

 日本の新幹線は東京オリンピックの年にできた。1964年、昭和39年だ。私は小学校5年生だった。出来てすぐに乗った。社会科での見学でだ。東京駅へ行き、新幹線に乗った。実情は新幹線の見学だけで発車することはなかった。当時の小学校はこうした見学を実施した。正確には乗ってはいないのだが。

 だが、この時の経験は強烈に身体に残っている。数年後に新幹線に乗って京都へ行くことになるのだが、その時のうれしさは譬えようがない。あの新幹線についに乗れるという喜びが。

 昭和39年は思い出多い年だ。東京オリンピックが今も思い出される。自宅のテレビがカラーになったのもオリンピックの開会式を見るためだった。10月10日だ。ブルーインパルスの飛行機が5機で編隊を組み、5色の煙で五輪を描いた。感動した。

 聖火リレーも鮮烈な印象だ。ギリシャはオリンピアで採火された炎が世界中をめぐり、日本にやってきた。開会式での酒井さんのりりしい走り、美しいポーズ、そして点火。今でも鮮やかに蘇る映像だ。

 このような思い出を世界の子どもが味わってほしい、と思う。だから、オリンピックもできるだけ未だ開催していないところで、と願う。インフラやその他不備なところは世界が援助すればいい。それこそスポーツの世界がなせることだろう。

 話を新幹線に戻そう。

 ハノイーホーチミン市間の高速鉄道にはいったいどこの国の技術が採用されるのだろうか。今年の5月22日付の新聞では、試験線をハノイ中心部とノイバイ国際空港間の12kmを高速用の専用線を敷設して、走行試験を行うことに日本とベトナム両政府が合意したという内容であった。

 なんだ、新幹線に決まったわけではないのだった。

 ベトナムは南北に長い。北部ハノイと南部ホーチミン市が高速鉄道で行き来できれば、観光客にも魅力であろう。どこの国の技術であれ、早い完成を切に望む。

 ベトナムの子どもたちの笑顔を見たい。

 

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